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今日は亡魂女子プロレスの休業日だ。東京は港区芝浦の本社兼トレーニング道場のリングには一人黙々と練習に励む「葛西ミミカ」と、それをソフト裂きイカを口に挟みながらロープ越しに見守る(ほぼ冷やかし)「新宮真希」の姿があった。新宮「しっかし、お休みの日に一人で練習なんて偉いねー、ミカちゃん! てか、ヒマなん? カレシとか友達とかいないヒトかな?」 「……アタシそういうのいらないヒトですから! それからミカじゃなくて、ミミカです! ミ・ミ・カ!」 「あっ、ゴメン、ゴメン、ミミコちゃん!」 「(ふうーっ)だからミミカです! それより先輩ヒマならスパーリング付き合ってくれませんか?」 「ウン、ヒマじゃないけどいいよ」 「…………(ヒマじゃないってさっきから裂きイカ食べてるだけじゃないですか! イライラ)、……えっと、その前に先輩、何か飲み物買ってきてください、アタシ喉渇いちゃいました! 希望としてはスタパのアイスモカフラチペーノがいいです!」 「いいよOK! 私もちょうど喉渇いてたトコなのよ!」 「……、(ソフト裂きイカばっかり食べてるからでしょ)じゃ、後でお金払いますからヨロシクお願いしまーす先輩!」 ――10分後 「ハイ!」 「えっ!、これって???」 「おいしいよアイスモナカ」 「アイスモナカって? これアイスクリームでしょ。全然飲み物じゃないじゃないですか!」 「あれ、違ったっけ! モミカちゃん……」 「……確かに名前はアイスモ~あたりまでは合ってますけど、もう! 先輩雑過ぎます! てかわざとでしょう! あとモミカってなんですか! モナカとごっちゃになってるし! そんなんだからみんなに嫌われるンですよ! まったくっ!!」 「ゴメーン! えっ!? 私って、みんなに嫌われてるの? マジで?」 「……はっきり言いますけど、誰がみても嫌われてるでしょ! 会社の空気読んでください!」 「……そっか! ショックう、薄々気付いてたんだけどね。。。」 「(うわっ、超ヘコんでる。めんどくさー)……あっ、それより、練習しましょう! 練習! 時間ないですし」 「よーし、やるか! 一丁もんでやんよ?」「(立ち直り早っ!)じゃあ、お願いします。ではキックミット着けてください。主に蹴りの練習がしたいんで」 「なんだせっかくエアプレーン・スピンとかフライングクロスチョップとか教えてあげようと思ってたのに」 「ハハッ、そういうのはいいですから(半笑い)。アタシ結城先輩みたいにキックを得意技として極めたいんです。ずっと結城先輩の付き人だったので、やっぱり目指すのは神崎さんや結城先輩みたいな総合系かなって」 「そっか、ミカンちゃんは明日香の付き人やってたのか。明日香を目指すんだったら相当気合入れないとね。君のヘナチョコキックじゃ百年たっても明日香にゃ追いつけないぜっ!」 「はあ、何て? それにミカンって……、あーっ、いろいろムカツク! 先輩本気で蹴ってもいいですか!」 「そうこなくっちゃ! さあ、どっからでもかかってきなさい!」バシ! バシ! バシ! ミミカはのっけから本気の蹴りを放っていった。「どうした、どうした、全然腰が入ってないじゃん! ダメ! ダメ! 明日香の蹴りはそんな軽くないからねっ!」 「くう! (ホントムカツク先輩!)」バシ! バシ! バシ!――そのとき新宮は三年前の同期の新人同士のデビュー戦、対「結城明日香」との試合を思い出していた。試合は終始、新宮が結城のキックの猛攻に耐える形となった。もともと練習のし過ぎで左膝を痛めていた結城はそれでも得意の蹴り技を繰り出し続けたがついに左足が限界に。最後の最後で反撃に出た新宮がジャーマンスープレックスで抑え込みピンフォールを奪取。両者の全力を出し切ったフレッシュなファイトに会場には惜しみない拍手がおこり、新宮と結城は抱き合って互いの健闘と友情を称えた。そんな思い出に慕ってる新宮にミミカの鋭い左ハイキックがヒットした。「今のはよかったよ、ミミカちゃん」とうわごとを残して崩れ落ちるようにダウンする新宮。「ヤダもう大丈夫ですか? 何ボケッとしてんですか先輩! あとミミカですから!(あっ、そこはあってる)」――てな調子で新宮&ミミカの休日返上の練習日は過ぎていくのであった。 
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