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2月14日亡女行楽園大会のメイン「倉成千春」、「由良まひろ」組対「神崎嶺」、「新宮真希」組の団体追放マッチの続きの続き。「新宮ううっ!!」アドミラールQこと倉成千春の怒涛の攻撃が新宮に迫りくる。蹴りや腕部での打擲、ともすれば首絞めや髪の毛を強く掴んだりとモロ反則も織り交ぜ、ガチな攻撃はかなりのところ続いた。そしてロープ際からリング下に蹴落とされた新宮は、次に倉成のヒールの十八番の場外乱闘でさらにまた苦境においやられる。鉄柵に叩きつけられ、客が逃げまどう観客席に投げ込まれたり、そこにまたパートナーの由良を始めとするやゾオンサイドの「氷川吹雪」、「南郷カオル」らが加わりパイプ椅子をこれでもかと投げつけられる。さすがにこの場は神崎サイドの「結城明日香」、「日向明美」が助太刀に参戦。東西南北の客席のあちらこちらで乱闘が勃発、場内は大騒然のカオスと化す。なおも倉成の執拗な攻撃は新宮に集中。コーナーに寄り掛かった新宮の背中にガスガスと容赦ない蹴りの連射を見舞う。そこまでするか?、その執念、あるいは妄念は見ている者の胆を凍てつかせるかのようであった。倉成「どうした、新宮! そこまでか! 新宮! きさまのプロレスはその程度か!」  新宮「はあ、はあ、はあ、は………」 ともはや顔をもたげ、虫の息の新宮、しかしその瞳にはここにきて嬉々としたような光を蓄えていた。新宮「うらあああああ!」といきなり掴んだ倉成の蹴り脚をその勢いで鉄柱に叩きつけた。ガツン! 「ヴっ」 不意をつかれた反撃に足を抱えて蹲る倉成の肩口に蹴りを叩きこむ新宮。すでに場外カウントは15を数えていた。ふいに倉成の髪を掴んで起こし、リングのロープ内に倉成の体をねじ込むと、自分もカウント19で滑り込むようにリングにギリギリ生還した。すると会場から大きな拍手が起こった。試合開始から20分、ここでそれぞれのパートナにタッチ。神崎VS.由良の対戦。そして次は神崎対倉成、そしてまた新宮対倉成と相手を変えていきこの果てしない激闘は続いた。試合時間30分を過ぎても倉成と新宮は激しいファイトを展開していた。ここからは大技のラッシュ、倉成の空中戦、ミサイルキックやムーンサルトプレスが連発すると、新宮も同じくトップロープからまだ開発中のミサイルキック、ムーンサルトプレスで応戦した。倉成・パイルドライバー、新宮・ジャーマンスープレックス、倉成・飛びつきフランケン、新宮・全速ラリア―トとそれぞれあわや3カウントかと思われた場面が多かった。倉成も執拗に「新宮どうした、おまえはここで終わりか!」と怒声を交えて厳しく新宮を攻めたが、攻めれば攻められるほど新宮は次第にいつもの不敵な笑顔を取り戻し、前半セーブ気味だったパワーを徐々に解除してか、全開の倉成に負けじと対峙していた。そんな二人に触発されてか、神崎、由良もパワー&テクニックを惜しみなく発揮、とはいえ神崎は肋骨の怪我をおしてではあるが、両者を全力でフォローした。そしてまた新宮対由良。ここで勝負を急ぐ由良がキレたかのように新宮に襲い掛かった。「うわわわわあ!、殺してやるっち!」ガスガスガス! なんと由良、新宮の急所、過去に大怪我をした首の頸椎あたりをサッカーボールキックで攻撃しだした。「ひえええええええ! 」場内はあまりにもエゲツない由良のやり方にドン引き、否定的な反応をした。当然この新宮の弱点は倉成の入れ知恵と思われた。そして新宮を抱え上げた由良は、彼女の必殺技グラデウスドライバー(パイルドライバーの高角度ジャンプエグイ版)の体勢に入った。「やめろーまひろー! 新宮を殺す気か!!」と叫んだのは社長の「上原五十鈴」であった。そんな上原の言葉を無視し由良は渾身の一撃を放った。ド――――ン!! 場内が戦慄に静まり返った。そのまま由良がカウントに入る。新宮死んだようにピクリとも動かない。カウント1、神崎、日向、そして結城明日香が息を呑み新宮を見つめる。カウント2、由良「ここまま死ね……」「誰が死ぬか!」片手を突き上げフォールを返し、新宮が復活。その勢いで立ち上がると、由良をグイと持ち上げその場ラリアット。「うっ!」さらにもう一回その場ラリアット、「うぎゃん!」、からの電光石火のジャーマンスープレックス。ドスーーーン! 物凄い音をたてて由良がマットにめり込んだ。「うわわわわわっーーーーわ!」会場はこのド迫力に驚愕の声が溢れた。そして由良は完全沈黙、新宮そのままカウントに入るも、カウント2で何故かフォールを解き、そのまま勝てた勝負をフイに。そして引き起こした由良の身体を倉成のいるコーナーサイドへと投げやった。「(おら、でてこい倉成)」と新宮の目が語る。受けて立ち倉成が、由良に代わりリングイン。由良は悔し涙でコーナで肩を落とす。ついに新宮、倉成の最終決戦の模様。――「うをおおおおおお!」、「うわああああああああ!!」この激しい一戦は、後に亡女の歴史に刻まれる名勝負のひとつになったという。試合開始から43分、新宮、神崎、倉成、由良の体力、ダメージはほぼ限界に達しようとしていた。誰もが終焉の時が近いと感じていた。激しい打撃の攻防から、倉成がもはや気迫のみで新宮をパワーボムでマットに叩きつけると、そのままコーナーに飛び乗りミサイルキックで飛んだ。「わあああああああ!」 新宮がようやく半身を起こすと宙高く飛翔する倉成の姿が見え、避ける間もないままでいると。グサア! そこへカットにきた神崎が倉成の脚をもろに受け止めた。「うわああああ!」神崎は悲鳴を上げながらも、反射的に倉成の大脚を掴み、自身の膝を折り曲げ、その先で倉成の背中を鋭く串刺しにした。「うぎゃああああ!」今度は倉成の悲鳴が上がった。神崎と倉成は相打ちという格好でマット上で悶えながらのた打ち回った。神崎のダメージは急所のヒビの入った胸部に及び、顔面が蒼白になり意識を保つのがやっとのように見えた。なんとか立ち上がった新宮は、同じくふらふらと立ち上がってきた倉成に引き寄せられるように歩み寄っていった。そして二人はリング中央で正面からお互いを抱き合うように体を組んだ。そのときの新宮と倉成の二人の顔は、もはや怒りも憎しみもない、ともすれば笑顔さえ浮かぶかのようないい表情をしていた。その時「新宮うううっ! きさんに倉成さんはやらせんぜよっ!」と由良が勢いよくリングに飛び込むと、「いや、新宮う! いけー」と、今度は神崎が気力を振り絞り由良をタックルで行く手を阻んだ。このとき新宮は倉成を抱いたまま固まっていた。何故か分からぬ理由で新宮は動けずにいたようでもあった。また理由もない涙がどちらともなく抱き合った二人の瞳から溢れてきた。 神崎「いけー新宮う! 何やってんだお前だ、お前しかいないだろ! お前がいけ! お前が決めろっ!」 由良「させんちよ! はなせボケたん神崎、はなせちよ!」ガスガスガスガスガスガス。その神崎の金切り声と由良の罵声も新宮には人事にさえ聞こえたという。由良も必死で神崎のボディを膝でガシガシ蹴り上げた。「が、がっ、ぐあああああ!!」神崎の瞳の光が激痛で消えそうになる。新宮「う、ううう……」 倉成「ど、どうした新宮………(真希ちゃん)」 新宮、腕にパワーを籠めるも次の攻撃に踏み出せずにいる、すると……、「しんぐうせんしゅ、がんばれー! しんぐうせんしゅ、がんばりぇーーえ!!」と客席から一人の応援の声が新宮に届いた。ふいにその声のほうを見ると、その小さな声の主、その女の子に新宮ははっとした。「こころちゃん……!」 ここで新宮何かに突き動かされたように全身が起動した。「うんのらあああああああああああああっつ!」と大声で叫びながら、倉成を前から抱えたままの体勢で、後方に大きな弧を描き自身の体ごと宙高く放り投げた。――ガッシャアーーーーン!! それは図らずともフロントスープレックス、あるいはフィッシャーマンスープレックスを応用した新宮真希の新必殺技「ホエーラーズスープレックスホールド(捕鯨者式爆弾固め)」発動の瞬間であった。続く
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