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魔少女旋風 ナハト×マギカ
第十四話 「鬼」

「だありゃああああああああ!!!」
パワー系土属性巨乳魔法少女ルカの力技「グラビトンクラッシャー(Lv.52)」が炸裂したのでした。

「ぬわっ!」
「な、何い!?」

如月と寧は間一髪その直撃をかわしましたが、もう一体の魔法少女、その思わぬ伏兵の登場にとてもマズイなコリャといった顔をしたのです。
そして頃合いを見計らい、

「今日のところはこのくらいにしてやろうか……」
「そ、そうね、そろそろ門限の時間だし」

などと如月と寧が勝手に勝負を終わらせるような発言をしたところ、すでにキレてるルカは、

「え? 自分らただで帰れるとでも思ってんのカナ? 周りをよく見てみなよ」

「ん?」
「これはっ!」

いつの間にか忍者2ニンの周囲を無数の敵影が包囲していたのです。
その敵の集団はそれぞれ手に棍棒や手斧を装備し、またその奇怪な容貌は一見にして人間のものではなく、やはり闇の住民の人外種かと思われました。
そうなのです、その人外集団は魔法少女の手下であるコブリンの皆さんであったのです。
コブリンは魔法少女配下の下っ端の戦闘員とはいえ、彼らは人間時代、犯罪者やDQNといった素性の者が多く、それなりに好戦的で戦闘力の高い者どもでした。
またその中には長身のトロールや、ガタイのいいドワーフっぽくシンカした者もおり、それらはすでにザコ敵というよりは中ボスくらいの貫禄を持つツワモノと思われました。

その内訳、
コブリン(ザコ敵)×18体
コロール(中ボス)×1体
コワーフ(中ボス)×1体
魔法少女(大ボス)×2柱
といった編成でした。

さすがの如月と寧も多勢に無勢と自覚したのか、余裕の笑顔はとうに失せており、その表情には一抹の焦りさえ感じられました。
魔法少女だけでも強敵なのに人外一個中隊が加勢したのだから無理からぬことです。

この状況に如月がクレームを入れました。
「ひ、卑怯だぞ、こんな大人数で、数の暴力ではないか? 騎士道精神はどうした、騎士道精神は?」

これに対しジュリコはブーメランのように返答したのです。
「アンタらこそ、さっきスポーツじゃないっていったでしょうが! ルールも礼節もないガチバトルとかってほざいてわわね。ならばそういうことよ、悪しからず!」

「ぐぬぬぬう!」
ジェリコに何も言い返せない如月でした。

すると今度はルカが外道忍者らを別件で糾弾しました。
「ところでオマエサンたち、さっき、アタシのジュリコにエロいことしようとしてただろ!」
「してねーし、百合同人じゃあるまいし、そんな趣味ねーわ……」
「嘘つけっ! エロノルマとか何とかとかいってたジャンかっ!」

ブーン ゴン!
「がっ!!」

間髪入れずにルカがコブリンから取り上げた棍棒を如月に投げつると、これが見事如月の頭部にヒットし、彼女の額にツツ―っとひと筋の血潮が流れました。

加えてジュリコが提案するには、
「オホン、てか、そのエロノルマとやらはアナタたちエロ忍者がその貧相なボディで自腹切って貢献したらどうかしら? あ、丁度いいわ、性欲モンスターのコブリンの殿方も大勢いるし、今からメス豚忍者のパンツを脱がして、みんなでエロボッコボコにしてやりましょう。さあコブリンのお客様方! お待たせしました! サービスタイム始まりました! 時間無制限! 回数無制限! フリー指名忍者二回転 好きなだけエロいことやっちゃってー♡」
とどこか下品なボッタクリ店のようなアナウンスを合図に、

「イーーーーーー!」 「ヒーーーーーーーー!」 「ニヒヒヒーーーーーーーン!」
とエロショッカー戦闘員の掛け声と共に、お客様ではなく人外コブリンらが嬉々として立ち上がり、如月、寧の忍者処女に這い寄りだしました。
コン棒の代わりに腰巻の間からコンニチワさせたもう一つの棒(〇ン棒)をタケ狂ったようにフリかざす雄姿を横目に、二人の魔法少女たちは内心勝利の確信と内緒の恥ずい微笑み♡を堪えるのでした。片や忍者処女の二人はそのバキバキの凶器を目撃するにリアルな身の危険にただ恐れおののくのでした。

「ちょうまって、まって! やだやだー、やめてーーー! エロ禁止! 閲覧不可! 18歳未満お断り! ひえーん、お嫁にいけなくなるーーぅ!」
「………………(ペロリ)」

寧の狼狽ぶりをよそに、ここで表情を欠いた如月が頬に伝わる己の血を一舐めしました。

「ウオオオオオーーーーン!」とタダ客ことコブリン達が一斉に雄たけびを上げながら忍者の嬢になだれかかるように襲い掛かかろうとした刹那のことでした。

「ビュオオオオオオン! ヒカッ! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!」
空気を切り裂く様な衝撃波、それとともに激しい閃光轟音、そして強烈なインパクトがその場一帯を席捲したのです。

「なんだ? このただならぬ衝撃は!」
「ほええ? 何が起こったっていうの!?」

やがてその破壊現象の直撃を免れたジュリコとルカは、その後に目にした信じられない光景に頭を鉄柱で貫かれたようなショックを受けるのでした。

それは夥しい屍の山、コブリンと呼ばれていた者たちの無残な姿。そのの寸断された手、足、胴、頭が肉塊の残骸となりて一面に転がっていたのでした。そしてまたある骸は黒煙を放ち全身真っ黒クロの黒焦げに炭化していたのでした。
「ギャーアアアアアアアアアアアアオ!」
「アギイギギギギイイイイイイイーッ!!」
そして即死には至らなかったものの、片腕や片脚を奪われ苦しむコブリン、半身を焼かれのた打ち回る者などももはやマトモに戦闘に参加することなど不可能でしょう。

いっきに戦力の大半を失い、思わぬ逆転ムードに自我忘失気味の魔法少女ジュリコとルカ。及び敵陣営の忍者処女寧がその屍の山の向こうに見たものは。

「鬼」

まさしくそれは「鬼」でした。世にいう鬼と呼ばれる異形と認識しました。その縦に吊り上がった隻眼を銀色に光らせ、裂けた口からは刃のごとき牙を剥き、全身に異様な瘴気を纏いて、鬼と化したその者がそこに存在しているのでした。

その傍で寧がカタカタと震える声でその鬼に問いかけました。

「き、如ネエ、そ、その姿は……」

『ククククク、驚いたか、寧が知らぬのも無理からぬこと、これぞ封印されし風魔が奥義「鬼降しの法」……、ついに発動させたったわ!』
「何それ……、聞いたことないし、そんな設定どこから? しかも伏線もへったくれもなしで?」
『ククク、申すでない! とにかく某は今より鬼となりもうした! 我が身に鬼の魂縛を降ろしてな、ギシャシャアシャアーーーっ!』
*定かではないが風魔忍者の中には鬼の血を引く一族があるとかないとかで、祖先の鬼の魂を呼びさますことで、異形の秘術を会得し攻撃力が大幅にパワーアップするのであった(もちろん後付け設定なので寧はおろか他の風魔忍者たちもまったく知らない)。

「うぐっ……、バカな、豹変? 変身? 変化でもしたとでもいうのか! とても人間とは思えぬ戦闘的なフォームだが?」
「……何だ今の攻撃は? 魔法少女のヤークト・ゲシュタルト(戦闘形態)並みのMPがあるとでもいうのか? リ、リアルの化け物か?」

確かにその鬼は今さっきまでは風魔忍者の如月と呼ばれていた者に相違ないのですが、もはや彼女の少女としての面影はなく、あまつさえ本家の闇の眷属、人外の黒魔法少女さえドン引きするほどの異形っぷりでした。

その姿に見惚れた寧は呟きました。
「如ネエ、鬼パねえ!」


*** ここで話は変って別の一幕に。

カツン!

チェステーブルを挟み、西洋将棋に興じる休日の大人、犬神征治郎と諸葛亮清明は現在は伊豆は修善寺の別荘に滞在し、隠遁生活を気取ったバカンスのひとときを楽しんでいるのでした。

「…………………………」
沈黙の後、ビショップの駒を大胆に動かし清明がいいました。
「何やら慌ただしくなって参りましたな……」
「……駒が揃ったからな。いよいよアルマゲドン(最終戦争)が始まるぞ!」
「ここは定石どおりに、来るべきチェックメイトを待つばかりとか……、新たなキングは思いの外お急ぎとのことですが……」
「魔少対は連日徹夜続きで魔法少女掃討に躍起になっているらしい。もはや殺超や土御門ごときナイト(馬)だけではどうすることもできまいが」
「焦点はポーン(民衆)が一斉にプロモーション(将棋でいう成る)するタイミングでしょう。一般民衆の魔法少女狩りは彼女たちにとって最大級の痛手でしょうな」
「エンダー・サルバトレ・マギカのことだ、一般民衆との戦闘は確実に回避するだろう。結果魔法少女らは頑なに魔法結界内に籠城するは必至、問題はその後エリコシュオンなる異世界にエクソダスでもされたら……」
「それは人間にとっての勝利……、ですが、犬神卿の望まれる結果ではないと……」
「無論! この戦いで本当の勝利とは魔法少女の駆逐でも排除でもない! あくまでも魔法少女とその魔法技術の完全征服及び掌握である!」
とここで犬神卿は見たこともないチェスの駒を手にしました。その形はどこかSFトンデモ兵器の光線銃のようでもありました。
「よもやそれを使うというのですか……」
「黒荊製薬は新魔法物質『マギカナイザーG1』の解析に予想以上の成果を出した。そして極秘裏に黒荊重工で完成を急がせているのがこの対魔法少女最終兵器『エレメンタルデストロイヤー』である。こいつを照射されれば魔法少女及び人外種はは現世でその姿形を維持できなくなる。我々が放射線による被ばくで遺伝子情報が棄損されるように、魔法少女のソウル・コアに秘められた魔法元素情報が崩壊し、その偽りの元素で結合された実体身体を喪失し、後はただの無力な思念体としてやがてこの世から雲散霧消されるであろう……」
「恐ろしい、非人道的、いや非人外道的かと、フフフ……」
「ま、使用判断は吾輩らが下すことはなかろうて……、ひとまず海軍にでも預けておくとするか、むろん一切の出所はばれんようにするが……」

カツ! 
とここで犬神卿はその駒を盤の中央へと突き立てたのです。

すると不思議にも敵側の白い駒のすべてが弾かれるように倒れていき、盤上を転げ、二、三は床へと落っこちていったのです。

「参りました! 完膚なきまでに全滅エンド! 然るにチェックメイトの猶予すら許されませんとはこはいかに……」
「そういうことだ。もとよりこの戦いは我々の勝利と決まっているのだよ(ニヤリ)」
「晴明曰く、あたりまえだのごもっともかと……(ニヤリ)」


*** 閑話休題 再び神隠しの森での壮絶なバトル!

「がはあああああああああっ!」
「ぐわらがあああああああっ!!」

「ああっ! パットナム! ブリューワー!」
次にパットナム、ブリューワーと呼ばれていたコロールとコワーフの二体が、鬼と化した如月の特殊攻撃「風神斬(Lv.55)」と「雷神斬(Lv.55)」の一閃でほぼ同時に倒されました。

「うぎゃーーん! ぐえ!」
「ママ助けて―! ぎょぺ!」
「おっぺけぺーーーー!!」

「うぬうう……」

ここで如月の無双状態に手が付けられず、ただコブリンらが刈られていくのを指を咥えて見守るしかできない魔法少女ルカでした。

「ギシャシャシャシャ! ヒンジャク―! ヒンジャク―! さ・て・と」
次第に人間性を失い潰走する人外勢を嘲笑う如月は次に魔法少女ルカをロックオンしたかのように狂気の眼を向けました。
「う……、(ここはやるかやられるか?)」

接近する如月と距離を図るも、ルカは次第に精神的にも押されていきました。

「ギシャシャアアアーっ 雷神斬ーーーーーっ!!」

ヒカッ! ガラガッシャーーーーーン!
「うわああああああああっ!!(悶)」

絶妙の間合いで放った如月の必殺技雷神斬はルカの上半身にクリティカルヒットしたのです。
防御力最強を誇るルカのヤークト・アンツーク(改良強化魔法戦闘服)もその一撃に耐えられず、胸部(ブラ)を中心に上半身のパーツが勢いよく砕け散りました。

ポヨヨヨヨヨーーーン!
「いやーーーん♡」

するとルカのメロンほどもあるワガママおっぱいが盛大にこぼれ落ち、左右のそれぞれが縦横無尽に大暴れいたしましたのです。

「クッククク! ギシャシャラララン♡」
「うわああ……、けっこうヤベーかも……」

理性を失ってもちょっとしたエロノルマを忘れなかった如月でしたが、次に本気の構えでルカを射軸に捉えました。今度こそガチに殺しにかかったのです。
ルカは両手に余る両巨乳と共に絶望の滲む顔色もまた隠しきれずにいると。

「こら鬼、まてまて! こいつがどうなってもいいのか!?」
背後からもう一人の魔法少女ジュリコの叫びが届きました。

いっせいに鬼如月とルカが振り向くと、
忍者処女の寧の首元に剣先を突きつけたジュリコの姿がありました。

「不覚!」と寧が自身の不首尾を呪いました。
ここでジュリコは寧を捕らえ人質にしていたのでした。

「卑怯とはいうまいね。この鬼が、鬼のくせに……、ハハハっ、鬼さんこちらってね!(笑)」
「如ネエ、なに構う事ねえ! アタイごとコイツをヤッてやっておくんなっ! ささ、ここは景気よくずばっばーーーんと!」

「キ♡(了解したような笑顔)」

「(はっ?)」
「(うわあ鬼だわ、てかマジで!?)」

ズッシャシャシャシャシャシアアアーーーーーーーーーーーッン!!

我が意を得たり(?)と如月は全く迷いのない一撃を二人のほうへと放ったのです。
そして圧倒的な破壊力をもった強力な必殺技(風神斬と雷神斬の併せ技「朱天同時」)は途方もない波動を伴い辺りの地形もろともジュリコと寧の体をにべもなく破砕したのでした。

「あわあああああああっ!」
「んぐうううううううっ!」

二人は断末魔をあげ大地に崩れ落ちました。
寧は当然即死でしたし、ジュリコも正確に体内のソウル・コアを破壊されこの世から消え去りました。

「ギャッシャシャシャアアアア!」
ほとんど人間を捨てた如月が狂ったような嗤い声をあげました。
それは悍ましい魑魅魍魎の咆哮のように辺りの空気を震撼させました。

残されたルカはもう無に返ってしまったジュリコに懸命に語りかけました。
「うわあああん、ジュリコ! 死んじゃやだヨ! ジュリコが死んだらアタシどうしたらいいいのヨ? 誰が美味しい魔法少女ショコラをつくるんだヨ! だから死んじゃやだヨーっ! 戻ってきてヨーーーーっ!(大泣)」

「おんのれええええええっーーーーー!」
次にルカは如月を凄い形相で睨みつけましたが、ここは滾る感情を我慢で地中に深く潜ると、詮方なくも撤退を決意しました。

「ギャッシャシャシャアアアアアアアアアアアア! ギシャシャシャ………………」
勝利の余韻とともに長かった如月の嗤いが次第にトーンダウンし、なんだか物憂げな響きを帯び始めると、そのまますすり泣く様な声音に変わりました。
「ギッ、グ、グググ………、うぐ、うぐうぐ(一体どうしちまったんだ某は……)」

タイムオーバーで鬼降ろしの法が解かれると、徐々に人間性を回復し元の姿に返った如月は、例えばその少女の純潔を失うそれよりも重大で深刻な己の身の変容に驚愕し、そして焦燥し、やがて途方に暮れるのでした……。
鬼となるのはそういうことなのです。
P347
誰もが己の心に鬼を棲ませるといふ、そしてその鬼は遅れてやって来る……
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