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魔少女旋風 ナハト×マギカ
第十七話 「激闘 第二次 星降山大戦」


♪ピーヒャラッタタタ ♪ピーヒャラッタタタ 

古めかしい横笛や小太鼓による軍隊マーチも勇ましく、計12門による大砲隊がここ星降山を間近に臨む薄ケ原に到着しました。
再び魔少対御用達傭兵部隊『殺超連合』が魔法少女の本拠であるマギカ千夜一夜城を陥落せしめんと陣構えしたのでした。

「魔法少女特別措置法」による国家総動員での再戦にあたり、殺超陣営は以前にも増して意気揚々、戦闘意欲旺盛といったイケイケテンションでした。

特に頭目の厳土呂頼母は、配備中の大砲の一つ一つを見て回っては自ら火線の調整や、砲身のコンデションの確認などを行いました。
また待機中の砲兵らに声をかけまくり、己の砲術に対する持論や蘊蓄を語ったり、各大砲の個体差の癖などをご教示したりと、並々ならぬこの仕事への矜持と、人生を共にしてきた各大砲への愛着ぶりを披露しておりました。
何より、戦いイコール仕事への喜びと、もっか国家最大の敵・人外魔法少女らと一戦交えることが嬉しくて仕方ないようでありました。ひとえに彼自身がこの戦いが彼の人生の有終の美を飾る大戦であるとの思いもあったことでしょう。
秋空に翻る錦の旗(許可なく勝手に作った)を満足げに眺める厳土呂でした。

そしてまた魔少対御用達のもう一つの陰陽師エージェント『土御門一門』の動きも再び慌ただしくなっていました。
星降山から数里離れた密教系の古刹「天目門」に集結した土御門家の精鋭ばかりの呪術師たちが、対魔法少女用に西洋風エクソシストアレンジをもした新曲、ならぬ新経文をひっさげて只今リハ中でございました。
魔法少女討伐の下知を受け、土御門シャーマン軍団もまた魔法少女らに対し「一曲打つ(呪詛攻撃を行う)」準備をしていたのでした。
このメンバーの中には、土御門浄閑の秘蔵の娘にしてメインボーカルでもあり、呪術界の神童として売り出し中(家族内で)の土御門詞穏(しのん)という若干7~8歳の女の子が混じっておりました。
彼女もまた護法力、超能力の類の持ち主で、魔法少女に対抗できる「天才シャーマン」であると父土御門浄閑をはじめその筋の大家らからもお墨付きでした。
そしてその詞穏ちゃんの能力はプロシーボ波(先代主人公奈美桃子が使う良く分からない超能力の波動。プロシーボ波の作用でみんなが元気になる、癒される、ような気がするらしい。そして邪悪な存在や、悪意を持った人間には耐えがたく堪らない何かがある。らしい)でありました。
そして彼女自身もまた帝都の国家平和家内安全大使モモコちゃんを崇拝している(モモラー)の一人なのです。



数刻後、そして再び殺超が布陣する薄ケ原。各大砲の戦闘準備が万端で整いました。
厳土呂頼母は呼吸を整えると、万感の思いで采配をふり上げました。

「うてえええええええい!」
ドーーーン! ドーーーン! ドーーーン! ドーーーン!
ズガガガガガガガガン! ズガガガガガガガガン!

巖土呂の号令に8門のアームストロンゲ砲と4門のガトリンゲ砲が一斉に火を噴きました。
閃光と化した砲弾はマギカ千夜一夜城の周りに着弾、時間差でいくつもの爆発の砲煙が上がりました。
もちろん城塞は強力な結界バリアで周囲を守られているので、中にいるマギカら魔法少女たちにはいっさい被害は及ばないのですが。

「うてえええええええい!(2)」
ドーーーン! ドーーーン! ドーーーン! ドーーーン!
ズガガガガガガガガン! ズガガガガガガガガン!

「うてえええええええい!(3)」
ドーーーン! ドーーーン! ドーーーン! ドーーーン!
ズガガガガガガガガン! ズガガガガガガガガン!

とにかく数を撃てばその不思議な結界バリアを突き破れると信じている巖土呂ら攻撃軍は、今回もさらに大量の弾薬を準備(追加予算計上で)し、数えきれない程の砲弾の雨を星降山へと降らしたのです。

とその時、
「ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!」
「なのあっ!?」

突如、巖土呂のはるか斜め後ろで巨大な火柱が舞い上がりました。部隊は「?」となりました。

「どげんしたとっと?」

「たいへんでおわす! 砲弾を満載した荷駄がいきなり爆発したとっとどす!」
「なんじゃねんな、そらあ?」

「ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン! ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!」
すると立て続けに、やはり砲弾を積載した近くの荷駄が爆炎とともに吹き飛びました。
熱風を堪え巖土呂が可能な限り現場に近づいてみると、火の粉が舞い散る硝煙の中に二人の少女の影を見つけました。

「き、きさんらなんね!?」

「…………(ニコ♡)」
「…………(エヒ!)」

その少女たちは、敵である人外魔法少女キララとアリサのコンビでした。

「な、なななががががが……」
突然の敵魔法少女とのエンカウントに驚いた巖土呂は驚愕のあまり全身が固まっていまいました。
対面の魔法少女キララとアリサは、巖土呂を睨みつけながら近づいてまいりました。
「あんた責任者! 何勝手にウチんち目がけて大砲ぶっ放してんのよ! うるさくて迷惑なんですけどっ!」
「停戦条約はどおーなってんの? ぬしゃあら攻撃しないって約束したハズよのう!」

巖土呂は魔法少女の強大なプレッシャーに負けまいと、持ち前の胆力を振り絞り答えました。
「き、貴公らは、ひ、人ならざる者、すなわち人外でおわっしゃれば、人間同士の取り決めやルール、ましてや人と人との道義や仁義などは存外……、その、つまり、停戦協定などといったものは基より人外と人間の間で必用であったかどうかと思うちょりもうす……」

「はあっ!? なにその一方的な理屈……」
「勝手に約束を破っておいて、どっちが人の道に外れているのだと!」

その巖土呂の背後の藪に身を伏せた狙撃兵がスナイドラ銃を構えているのにキララとアリサは気付きませんでした。
そして巖土呂が身を翻すのを合図に、狙撃兵が全員立ち上がると一斉射撃で魔法少女めがけ発砲しました。

パンパンパンパンパンパンパンパン
「「いでででででででででででっで!!」」

もちろん二人の魔法少女はヤークトアンツークに守られ大怪我には至らないものの、サバゲ―でBB弾に撃たれた程度の痛みは伴ったようでした。

「ち、不意撃ちかよ!」
「やったなコンにゃろーめっ!!」

とキララは仕返しに魔法錬金術の応用で、兵士の構えるライフルの砲身を粘土のようにねじり曲げると、銃口をクルリとリボンに結び上げました。
これに火属性のアリサは阿吽の呼吸で、その結び上げたライフルに装填されている薬莢に発火し銃の暴発を誘ったのです。

バゴーーン!!
「どわあっ!」
派手に暴発したライフルにダメージを負った兵士が血まみれで倒れ込みました。


「ははっ! ポン(手を叩く音)」
「おもしれー! 傑作! ウケル~!」

何だか面白い遊びを見つけたかのように二人は、その他多数の兵士らの銃も同様に同魔法をかけていきました。
そして次々にリボン結び歩兵銃暴発のリピートで、ライフル兵たちは彼女らのアソビの巻き添えになり負傷、あるいはライフルを放棄して逃走していきました。

バゴーーン!! バゴーーン!! バゴバゴーーン!!
「うわ!」 「ぐがあっ!」 「ぬわああっ!」

「アッハハハ、あー楽しい、次あれいってみる」
「あーあれね、まあ要領は一緒のようよのう!」

次に二人は辺りに配備された各種国崩しの大筒、アームストロンゲ砲やガトリンゲ砲に目を向けました。

ドッガーーーーーーン!!!
「「「どおわああああああああっ!!!」」」

まさにその要領で大砲の砲身をひん曲げると、砲筒内の火薬に引火させ暴発、大砲を大爆破させていったのです。
もちろん火力のある大砲の暴発は破壊力が小銃とは段違いで、近くにいた砲兵数人をまとめてフッ飛ばしていき、殺超の部隊に壊滅的な打撃をあたえていったのでした。

その状況を見た巖土呂は涙目でした。彼の目の前で手塩にかけてきた大砲や、育ててきた部下も次々に玉砕されていったのです。


ドッガーーーーーーン!! ドッガーーーーーーン!! ズドドドッガーーーーーーン!! ドッガーーーーーーン!! ズドーーーーーー!!
「「「どおわああああああああっ!!!」」」 「「「ぐわああああああああっ!!!」」」 「「「だわああああああああっ!!!」」」

「あーはははははははははははははっ!」
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひぃ!」

魔法少女らはあらかた大砲と砲兵隊を爆破、炎上、アボンさせしばらく大笑いでツボっていると、その油断の隙にまだ怒りに燃える巖土呂が単身アリサの背中に転がし持て来た大砲の銃口をつきつけていました。

「ほえ?」
「てええええええええい!!」
ドドーーーーーーン!

アームストロンゲ砲の0距離射撃をモロ身に受けたアリサが、火球となり数百メートル先の雑木林の中にふっ飛んでいきました。

残されたキララは「?」となっていました。

巖土呂は急いで次弾を装填しつつ砲頭を旋回し、今だ状況が飲み込めずにいるキララのお腹らへんに狙いを定めたとき、

「なんさらすんじゃいワレー!!」

と自身に受けた不発弾を抱えたアリサが全力疾走で戻ってきました。
そのままの勢いで手にした砲弾をドッジボールの炎の闘球児ばりに巖土呂めがけてぶん投げたのです。

「うぽす」
ドッガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

アリサの怒り爆裂ファイアーの火属性魔法プラスで火力が十倍返しの炎の弾丸が巖土呂の股間に見舞われました。次の瞬間、巖土呂の身体は下半身を中心に大爆発炎上しました。
そして爆風で上半身(ガンドロウAパーツ)のみ燃え上がり銀河に向かって翔んでいきました。

ここで勝負は決したも同然となりました。将を失い僅かに残された兵士は、魔法少女の嘲笑を背にし潰走、そのまま各人自由解散となるのでした。

此度の第二次 魔法少女VS.殺超連合 抗争は魔法少女勝利となりました。

ちょうどそのころマギカ千夜一夜城城内では、土御門一門の精鋭部隊による呪詛攻撃(新曲? 新経?)に体調の悪化を訴える者がでていました。
とくに秘蔵っコ♡詞穏のプロシーボ波は城内にいたルカ、マアリャと配下のコブリンら人外に思いのほか効果覿面でした。
「ちっきしょう! ノンペども、また呪詛攻撃なんてイヤラシイ! でも今回のは前のよりキツいかも!? 胸がキュンと苦しくなるカンジ このままじゃあキュン死ねるかも……」」
とルカが辛く切なそうなリアクションすると。いつもはもの静かなハズのマアリャがいきなり立ち上がり、呪いが飛んで来たと思われる方角の空を睨んだのです。
ししてラジオのチューニングかWiFiの同期をするかのように呪詛の信号? 波紋?に禁断のテレパシー魔法でリンクいたしました。

「(これはオマエの仕業かっ!)」
「(……えっ?)」

それはプロシーボ波の回線を使ったテレパシーの直接通話であったのです。話しているのはマアリャと土御門詞穏です。一般のアナログ魔法回線ではないので今のルカには通じないのです。

「(プロシーボ波を使うとはオマエは何者か? まさかモモコじゃ?)」
「(それはお答えできないのです。特定されるのが嫌なのです。モモコちゃんではないとだけいっておきましょう。そういうアナタさまこそ何者なのです?)」
「(通りすがりのモモコアンチとでも……。いや、今回特別に特定覚悟で教えてやろう、実は私は○○○〇!)」
「(えーーーーっ!!)」
「この秘密を知られた限りはオマエは只じゃあおかない! オマエのココロを頂いちゃうぞ!」
「はわ? 何をなさるのです?」
「ちょっとだけ……、ちょっとしたおイタをば」
「きゃあああああああ! ココロに何か入ってくるううう、ココロがきえちゃううう!」

数分後……。
「………、あっ、スッキリ、直った!」
とルカが気分が良くなったスッキリ笑顔で振り向くと、
「ええ、今終わったわ……」
とマアリャが満足げに呟きました。
すると、
「ただいまー!」
「あー、面白かったー!」
とキララとアリサが瞬間帰還魔法「ソクサリターン」で戻ってきました。

「ところでマギカまだ寝てる」
「ずっとだね。よっぽど疲れてるんだね」
「ま、お外も静かになったし、室内のうっとうしい呪文はなくなったことだし、もうしばらくそっと寝かしてあげよう」
「「「「だね♡」」」

「こ、これは……」
「キキキキキキキキ……」
床は一面の血の海でした。土御門浄閑が駆けつけたときには折り重なるように一門の精鋭たちがこと切れていました。喉や胴などの急所から大量の出血がみられました。
「ぐ、呪詛返し? ぬかったわ! おのれ、ま、魔法少女共めがっ! がああ……あっ」
と叫んだ浄閑はむううんと唸りその場に倒れ落ちました。その背中には呪術で使う宝剣が深く突き刺さっておりました。
身体を弛緩させ絶命する父浄閑の様を後ろから実の娘の詞穏が見下ろしてました。何故かその表情は嬉々とした笑い顔でありました。

「キシシシシシシシシ、やったやった! アタシはやったよ! お姉ちゃんのために……。モモコに代ってやってあげたよ……。だからアタシを許してね、お姉ちゃん……」

そして第二次 魔法少女VS.土御門一門 呪術合戦は魔法少女勝利となりました。
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炎熱に焼かれ、泥濘に沈み、血も涙も枯れ、我が心身失い魂縛となれども。それでも戦いは終わらない……。
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